(無題)

2010年1月3日 00:19:14

多分たくさんの間違いを犯してきた。
そしてそれを全て棚にあげて、イラつく。イラついている。
言葉の淋しさを思うと、何もかも破壊したいほど凶暴にイラつく。イラついている。
言葉は道具だ。言葉は記号だ。言葉は手段だ。
だからといってぞんざいに付き合ってよいというものではない。
それじゃあんまりだ。かわいそうだ。それを思うと何もかもを捨てたくなる。
何もかもどうでもよくなる。言葉は、言葉だ。ただそれだけだ。
けれども、言葉は、肉体であり、言葉は、官能であり、言葉は、情念であり、

言葉を何の制限も無く思いつくままにこぼす世界、そのあまりの淋しさ。
それが大手を振って歩き回る絶望。ぼくは、

イラついている。ただ、イラついている。
そうだ。だからといって何がしたいというわけではない。

ただ、書きたいだけだ。
ただ、読みたいだけだ。
ただ、恋していたいだけだ。
ただ、手をつなぎたいだけだ。
ただ、空を見たいだけだ。
ただ、名前を呼びたいだけだ。
ただ、話したいだけだ。
ただ、居たいだけだ。
ただ、それだけだ。

全てのノイズを排除して、そこに居たいだけだ。
昔から雑音に敏感でわずかなノイズも許せないほど、怒っていた。
怒りだ。そう、確かに、怒りだった。今もそうだ。
ノイズが我慢できない。ノイズ自身が、ノイズだと気付かないことにもイラつく。
微かな、ほんの微かなノイズでさえ、最大の怒りを覚える。
昔からそうだ。
今もまとわりついてはなれない破壊衝動は、全て、その微かなノイズが原因だった。

イラついている。

ただ書くための場所のために血を流そう。
ただ読むだけの場所のために肉を裁とう。
ただ恋するだけの場所のために拳を振り上げよう。
ただ手をつなぐだけの場所のために殴り続けよう。
ただ空を見るだけの場所のために疾走しよう。
ただ名前を呼ぶだけの場所のために命を賭けよう。
ただ話をするだけの場所のためにこれまでの全てを捨てよう。
ただここに居たいこの場所のためにこの先の全てを捨てよう。

イラついている。

言葉の淋しさ。

言葉がしょんぼりしている。言葉が、微かなノイズに侵されている。
手を出すことのできない言葉。抵抗の手段を奪われている言葉。
それは、

ノイズのノイズたる所以のでしゃばり。
言葉は、そう元来引っ込み思案なものだ。

言葉が、我が物顔のノイズに、しょんぼりと身を引く夜。
その姿を見る。

何もできない自分。

爆破すべき夜というものが、あるんだ。
今日が、そうだ。
これまで間違いを重ね続け、あちこちに不義理を重ね、罪を犯し、
それでもその全てを棚に上げて、今日の夜を爆破する。

大音量でSIONを聞く。
ヘッドホンをして、最大音量でSIONを聞く。
鼓膜を叩き壊せとSIONを聞く。