何故か、当たり前のように『LEON』をセットした
2010年1月31日 00:11:41
そうか、こんな高いところにぼくはいるのか、と思った。
もうそこは、空じゃないか。
空に手が届くんじゃないか、そんなところだ。
こんなところに居てもいいのか。
どうやってここまで来たんだろう。
ここからどこに行こうとしてるんだろう。
足の下にはただ空っぽの空の続きがあり、
頭の上には空自身があり、
よいしょと足を踏み出せば、まっさかさまに堕ちてしまいそうだ。
そんなことないか。
空っぽの空に足を踏み出しても、堕ちることはないな。
背中の翼がぱたぱたするだろう。
それにしても、ここまでどうやってきたんだろう。
あの高円寺の歩道で経験した世界認識の新しい形。
あの日からここを見ていた気がする。
見てはいたけれども、ここに来るとは思ってもいなかった。
ここからどこに行くんだろう。
目的? 目標? そんなものはいつも、なかった。
憧れと恐怖があっただけだ。
世界最初の言葉を知りたかった。
世界の果を見たかった。
言葉の千年王国を知りたかった。
世界最後の言葉を予感したかった。
それだけだった。
そんなことごとを知った今は、ここに居るだけだ。ただ、居るだけだ。
憧れも恐怖も無い。
けれども、ここじゃないどこかに行きたい。
いつもそう思う。
ここよりも、もっと高い場所。
ここよりも、もっと遠い場所。
ここよりも、もっともっともっと、ぼくだけの場所。
一人っきりの場所。
音の消えたモニタにマチルダが背伸びし、
スピーカからは、ヴァイオリンが流れ続け、
曲でも書くか、と鍵盤の前に座ってみたり、
それにしても、こんなとこに来ちまった。