コトバと夜話す
2010年3月10日 20:57:34
この記事がアップされたからといって、ぼくが今ここに居るとは限らない。
それはそうだ。
なぁ、そうだろ、コトバ。
そう、ここから声をかけると、
「まだお前は、存在だの、非在だの、不在だの、虚在だの言ってんのか」
コトバがそう言った。
「そうなんだよ。まだそんなことを言ってんだ」
どうもなんだか体の中がおかしいんだよ。
コトバに話しかけてみる。
「まだお前は、体だの、心だの、生活だの、芸術だの言ってんのか」
コトバがそう言った。
「そうなんだよ。まだそんなとこでうろうろしてんだ」
ぼくは、ぼくだけの言葉を手に入れたんだ。
ぼくだけの言葉は、ぼくだけににっこり微笑むんだ。
ぼくだけの言葉は、ぼくだけに心を解放するんだ。
ぼくだけの言葉は、寂しそうにぼくの手を握るんだ。
ぼくだけの言葉は、ぼくだけにしか見せない表情でぼくを見上げるんだ。
ぼくだけの言葉は、ぼくだけにしか聞けない声をあげるんだ。
ぼくだけの言葉は、真夜中、ぼくを呼ぶんだ。
ぼくだけの言葉は、いつでもぼくを呼んでいるんだ。
なぁ、コトバ、いいだろう。
そう言ったら、コトバが飛んだ。
コトバ、空だな。
もう一つ教えてやろうか。
ぼくだけの言葉は、ぼくと一緒に空の真ん中に堕ちていくんだ。
言葉心中
コトバ、お前と暮らし始めてもうすぐ4年か。
言葉、お前を追い続けて何十年か。
ぼくは、ぼくだけの言葉を手に入れたんだ。
ぼくだけの言葉、離すもんか。逃がすもんか。
言葉心中