詠みながら、読みながら、生を買い求め、片っ端から消費していく
2010年6月27日 20:43:17
黒いレコードをプレイヤにのせると、
森田童子がくるくる回る。
机の上には野村秋介。『銀河蒼茫』
一句、一句、と噛み締め、涙し、
それにしても涙もろくなった、と
哲学書を買い漁り、片っ端から読んでいく。
口をつく言葉を片っ端から書きとめていく。
一文字ずつ原稿用紙の升目を埋めていく。
一日ずつ生を買い求め、片っ端から消費していく。
遺されし広辞苑から「明日」を残し 全てのページを焼く朝悲し
後ろ手に爆弾教本隠し持ち 母の手を引く右翼少年
梅雨晴れに銃を握りてふくろうを しばらく見つむ何を撃たんか
手に入れし言葉はすでにこの内に 血となり思考し我を造らん
昇り来し十三段の上に立つ 寂し言葉の生け贄として
森田童子がくるくる回る。
野村秋介が六月の夜に悲しき希望を呟く。
森田童子がくるくる回る。
一日、今日を買い求め、購う端から食い尽くす。