空っぽの劇場が好きだ
2010年8月17日 15:05:42
何もない空っぽの劇場。
暗く打ち沈みただ、空調の音だけがしている。
ツワモノどもの夢の跡、劇場。
舞台美術が組まれ、
照明がその夜空に瞬き、
俳優が燃焼に向かい、
観客がひしめく。
そんな時間或いは瞬間を過ぎ、劇場はまたもとの空っぽに立ち戻る。
ばらされていく劇場を見ているのが好きだ。
照明が降ろされ、
美術が塵と化し、
俳優が人間へと立ち戻り、
音が現実を引き戻す。
次第に劇場特有の真っ黒の壁が現れてくる。
空調の音が強くなり始める。
劇場本来の床が見えてくる。
何もかもが運び出され、劇場はもとの空っぽ。
何にもない場所、劇場。
何もない、何もない、何もない、ここには何もないんだ、と寺山修司。
何もない場所、劇場。空っぽの闇。
空っぽの劇場が好きだ。
先日、ある劇場を下見させてもらった。