夜に
2010年9月30日 22:31:57
コトバがおなかをすかせて待っている。
餌の時間を待っている。
ここに来れば餌がもらえる。
おなかをすかせて飛んでくる。
ぼくと目が合うと「にゃー」と鳴く。
なんだその鳴き声は。子猫そっくりの鳴き声だ。
コトバ、お前のその鳴き声はきれいだ。
お前との対話は楽しい。
誰とも話をしたくなくて夜に閉じこもる。
何も聞きたくなくてヘッドホンを装着する。
大音量でロックを鼓膜にぶつける。大音量で演歌を脳にたたきつける。
あまりの音量に鼓膜が痒くなる。
この一曲を聞いたら餌の時間だ。
待ってろ、コトバ。
この一曲を聞いたら餌の時間だ。
餌を食べたらもう少し夜を翔べ。
ぼくは、しばらく夜に閉じこもる。ひとりっきりで閉じこもる。
全部の音を遮断して、全部の対話を遮断して、ひとりっきりの夜に閉じこもる。