秘密会談
2010年12月23日 00:15:57
森本薫氏。
「交響劇第二番嬰イ短調」の舞台において、
あの驚くべき効果を見せつけた巨大な振り子を製作してくれた。
あの振り子は、実際に会場で見た者にしかわからない完全な効果だった。
あの舞台の画が見えた時からずっと頭の中にあった振り子。
それをどう具現化できるのかと、試行錯誤していた。
自宅でもいろんな実験をしていた。
どんな代償を払っても実現したかった。
森本薫氏に相談していた。
照明の若林さんにも相談した。
それまでにぼくが考えていた方法のあまりに煩雑でリスクの高い方法は、
その二人によって却下され、そして、新たな方法が提案された。
本番の数日前だ。
そして、森本薫氏がそれを実現してくれた。
劇場でそれを見たときに、ぼくは笑った。頭にあったものとぴったりの画。
それが、嘘みたいに目の前に見えている。
本番中、あの振り子の凄さに気付いた観客だどれだけいただろう。
ゆっくりと振られ続けるあの影こそが、あの作品のテーマといってもいい。
まさにテーマを目に見える形に具現したものだった。
あの振り子を描きたいがために
登場人物を産みだし、物語を紡ぎ、何万もの文字を書いたんだ。
森本薫氏は、たった数語の打ち合わせで、そのテーマ本来を形にしてくれた。
効果の中の効果だ。
ぼくは、これまでの演劇であれほどの効果を見たことがない。
そして、ある日の稽古。
何か月後になるのか、何年後になるのかわからないけれども、
一つの効果が見えている。やはり、テーマに直結する、いやテーマそのものと言っていい画だ。
森本薫氏に相談中。
ぼくが画を描く。「可能?」と聞いた。
森本氏が具体的な問題点を次々とあげながら、実現への具体的な提案を積み上げる。
ぼくに今見えているその壮大な画は、きっといつか舞台上に具現化するだろう。
森本氏がそれを実現してくれるだろう。