見沢さんの墓参り
2011年12月26日 21:39:02
今年も一年、ここを訪れた。
季節の移り変わりを一番感じたのは、このお寺さんで、だ。
定点観測に近いものがあるのかもしれない。
吹く風、射す陽光、流れる香り、映る木々、歩く土の音。一年、ここで季節を感じていた。
写真は、お寺さんにいた黒猫。(撮影は今年の2月か3月か)
首に、「大観音」と書かれた札を下げていたから、てっきり名前だと思っていた。
人によくなつき、墓参するといつも足元にすり寄ってきていた猫。
その猫が、亡くなった。名前は、『平吉』だったようだ。いなくなって、名前を知った。
年末だからか、墓所にはあちこちから線香の香りがした。
お花が供えられているお墓も多い。見沢さん、今月も来ましたよ。
洗う手が冷たい。見沢さん、今年はいろんなことがありました。
でもまあ、何もかも過ぎたこと、何もかも過ぎていきます、何もかもが。
墓参後、ご住職さんと少し話した。4年前の三回忌の時からお世話になっている。
いつお会いしても、知らず身を正される。その言葉やその表情に体がすっと伸びる。
お墓の前で、見沢さんのお母さんに電話をした。
「今、お寺さんに来てるんですよ」
「親孝行しなさい、と見沢さんに伝えましたよ」
毎月のお墓参り。今年も冬か。木々が乾いた葉音をたてている。