ひたすら考えているのですよ
2013年8月3日 00:55:53
頭の中に見えている一枚の画
それを見続けているのですよ
ひたすらに
ひたすらに
上から見たり下から見たり正面から見直したり裏に回ってみたり
足元に注目してみたりズームアップしてみたりもちろん遥か遠くかにひいてみたり
そんな風に偏執的に一枚の画を見続けているのです
そうすると「あれっ」と思うことが見えたり
「おっ」と思うものが見えたり
「なるほど、そうか」という気付きがあったり
そんな一瞬の積み重ねからようやく一言二言言葉が浮かび上がる
待っていれば脚本がかけるってものでもない
見続けなければ書けないし創れるものでもない
稽古場で俳優を前にしたら「現実」と「俳優」というフィルタがかかる
当然だ
そのフィルタを通してそれまで見続けてきた一枚の画を観るのだが
気を抜くと現実の破壊的な力に頭の中の画が負けてしまうのだ
といってもこれまで負けたことはないのだが負けそうになる瞬間は何度も経験した
稽古場での「現実」に負けない画があるかどうか
頭の中の画をひたすら見続ける
はたから見れば生産的なことを何もしていないなまけものに見えるだろう
ぼんやりと日がな一日それを見ているのだ
一時間いくら、一日いくら、あるいは一本いくら、と換金されない時間を過ごす
何をしていても頭の中はそればっかり
例えば本を読んでいても画が離れることは決してない
一冊の小説を読みながらもそこにある何千何万の単語は全てその画に収斂される
必要な言葉に出会う瞬間があるかもしれないと画を見続けながら本を読む
日がな一日はたから見れば怠け者