啄木を読みながら

2014年3月9日 23:09:48

頬につたふなみだのごはず一握の砂を示しし人を忘れず

いのちなき砂のかなしさよさらさらと握れば指のあひだより落つ

大という字を百あまり砂に書き死ぬことをやめて帰り来れり

どんよりとくもれる空を見てゐしに人を殺したくなりにけるかな

人といふ人のこころに一人づつ囚人がゐてうめくかなしさ

わがこころけふもひそかに泣かむとす友みな己が道をあゆめり

底知れぬ謎に対ひてあるごとし死児のひたひにまたも手をやる