高木ごっこ・・・229-50DVD 『執拗に何かに怒り、しかし、握り締めたこぶしは、どこにも振り下ろされず、叫んでも、この声は跳ね返るばかりで』
2007年4月28日 23:31:38
ヘッドホンをし続けて、
今、なお『ワルキューレ』
鼓膜が振動し続け、
世界が振幅を始める。
友人T君に
「●●が欲しい」
と言ってみた。
「Sやんに頼めば、はいりますよ」
と彼は、答えた。
『ワルキューレ』が進軍を続ける。
プレイヤ高木がいらつき続けている。
モニタには、
『赤目四十八瀧心中未遂』
串に臓物を刺し続ける一人に男。
水晶の夜
足音が聞こえ、
悲鳴が聞こえ、
右手を上げ、
いらついている理由・・・
わかっている、そんなことは。
殴りたいのは、この目の奥に写った、
さかさまの世界。
撃ちたいのは、この目の虚像そのもの。
そりゃそうだ、20年以上も書き続けてきたのに、ただの一語も生み出すことができない、この目の奥に居座り続ける、奴。昨日原稿用紙に突き立てた万年筆は、今も、まだ、突き刺さったまま、右にも左にもぶれることなく、突き立ち続け、青く青の青で青いインクがゆっくりと升目ににじみ、その形は、あれにそっくりで、やはり、ここにあるその一語を、書く勇気を持つことができずに、いや、そうじゃない。
ほら、先端恐怖の目に映る、誰かの指が。