頭の中を静寂が占め、独り。
2007年6月10日 23:37:26
寺山修司作『青ひげ公の城』
APB-Tokyo公演・・・・
今日、幕を下ろし。
真夜中。
最後の舞台を終え、
お客様を送り出し、
舞台をばらす。
そんなひと時、
音響の機材の片付けの手を休め、
しばし、演出家高野女史と話す。
長い付き合いになる高野女史。
その年月は当然換金できるものでもなく、
濡れ手でつかめるものでもなく、
演劇を続けてきた、という、事実、
その積み重ね。
ただ、ただ、その積み重ね。
泣きながら、喚きながら、
手足をばたばたとあがきにあがき、
世間に突っ張り、
何かを捨て、捨て、捨て、
手に入れてきた、たった一つの事実、
演劇。
写真は、あの飾り立てた舞台の果て。
幕が下りて、たかだか数十分で、
劇場が劇場の素顔をさらす。
真っ黒の壁、高い天井。
この景色を見るのが好きだ。
どんな舞台でも、この瞬間がある。
劇場が暗闇を取り戻す瞬間。
「お疲れ様」と、
独り劇場を後にして、
真夜中、独り・・・
コーヒーをいれよう。
映画を見よう。
そうだ、ゆっくりと煙草をすうんだ。
煙草の煙は、時間の墓場をただよい、
つぶやく、
振り向くな。