ツカムラケイタ氏、動体視力をする

2009年8月28日 23:08:31

【撮影・ツカムラケイタ】

多忙な仕事の合間をぬって、今回もツカムラケイタ氏が舞台写真の撮影をしてくれた。
とても忙しい仕事をしている。いつ会っても、徹夜明けだの、これから仕事に戻るだの。
体力や気力があり余っているのか、
そんな時に麻雀をして、優勝をかっさらっていったりする。

『見沢知廉生誕50年記念展』阿佐ヶ谷ロフトに今回もカメラをかかえてやってきた。
彼の写真は、動体視力だ。

写真を撮り終え、「これから仕事に戻る」と去っていった。
彼の写真は、動体視力だ。いつもそう思う。
撮っていただいた夜、真夜中に写真を送ってくれる。
たくさんの写真をファイル転送サービスを使って、送ってくれる。
それを開くのが楽しみだ。

若いころ、映画の撮影を勉強していたというツカムラケイタ氏。
大学でのその勉強は、今こうして動体視力とその感覚として生きている。
彼の撮影したたくさんの写真はどれもこれも動いている。

静止画の中での破廉恥な動体。それが彼の写真だ。
一瞬間先を予見する力に優れているのか、それとも、
感覚からシャッタを切る指先への信号伝達の速度が速いのか。

劇団再生の公演には、いつもたくさんの記録者が撮影をしてくれる。
映画『天皇ごっこ・たった一人の革命』大浦組の葛西さんは、
会場にいる劇団再生のオフとオンを執拗に収めていった。

吉野邦彦さんは、いつもどうり飄々と三脚をセットし、舞台を収めてくれた。
カメラマン平早勉氏は、その生き様そのままに
ぼくたちと会話を交わし、プロの目を光らせていた。

総数1500枚を超える写真が残され、
何本ものテープに収められた『天皇ごっこ〜調律の帝国〜』

「写真は老後の楽しみだよ」とぼくは、言う。まんざら嘘でも冗談でもない。
とはいえ、老後をどこに設定するかによるかだけれども。

一本の作品を観る責に責する、ころすけ君(市川未来)を、
瞬瞬間の感覚を無条件にする、あべあゆみを、
複素平面の舞台化を知覚する、鶴見直斗を、
劇団再生の語る「一切」に引力する、磯崎いなほを、
音の響きにその鋭敏をする、田中惠子を、
理性と幽玄に間をする、さとうまりこを、
20数年の歴史に勇気する、宮永歩実を、
T62号高機能エンジンをする、中田祐子を、
主張に声の大小はないとする、田上雄理を、

記録せよ。

演劇ほど、記録且つ保存性能に優れた芸術はない。
そして、その特徴が顕著にあらわれているのは、他でもない劇団再生だ。

記録せよ。

ツカムラケイタ氏は、そんな劇団再生を動体視力する。