芝崎るみ、RumiRock、キモノスイッチ、見沢知廉という着物
2010年12月16日 22:10:37
今年になって、なるべく着物を着るようにしていた。
何故か。まあ、着たいと思ったからだし、出会いやチャンスが重なったからだ。
着方を習いにも行った。そこで、着物は慣れですよ、と言われた。
帯を締めるのも慣れだ、となるべく着物を着るようにしていた。
そんな時、見沢ママから反物と下駄をいただいた。
見沢さんに着せようと思って買ってあったらしい。ウールだ。アンサンブルがとれる。
下駄は、桐の台に桜が貼ってあるなかなか良い品物。
先日、ある会合で着物デザイナの芝崎るみさんとお会いした。
お店は、吉原にあるキモノスイッチ。
その反物を仕立ててもらうために先日伺った。
芝崎さんは反物と下駄を眺めながら、見沢親子をプロファイルしていく。
こんなお母さんですね。
こんな親子ですね、と。
遺された一反の反物。それには、それを選んだ人の人生が残されていた。
そして、それをぼくは着ようとしている。
見沢ママが、見沢さんに強い思いを込めて準備した反物。
見沢さんは、それを着ずに死んだ。そして、ぼくは生きて、それを仕立てて着ようとしている。
実は、その反物に関しては、着るつもりは、なかった。
じゃあなんで。
芝崎さんと出会ったからだ、というしかない。
芝崎さんの作品を見た。話を聞いた。そんないろんなタイミングがぴったりと合った。
だから、着ようと思った。そんな気がする。
芝崎さんの作品を見た。
どの作品もぼくの琴線に触れる。デザインが、画が、一枚が、痛い場所をつま弾く。
三島由紀夫だ。零戦だ。鉄条網にアザミ。
そして、目玉に若冲!
こんな一枚を見ながら、ぼくに、ぼくだけのために、着物を作ってほしいと思った。
一枚の画を描いてほしいと思った。
芝崎さんに、画を描いてほしいと思った。
今年になって、何だか着物との関わりが多く、タイミングがぴったりと合った。
ぶらぶらと着物を着て出かけることが多かった。
似合うのか似合わないのか、そんなことはわからないが、着物はいいな、と思っている。
見沢さんの着物が仕立てあがったら、見沢ママに見せに行こう。
お母さん、これがあの反物ですよ。
お母さんが言ってた通り、羽織もできました。
いい下駄ですね。
見てください。
お母さんが見沢さんに着せようと思った着物はこれですよ。
立派に、いい子に育つように用意した反物がこれです。
見沢さんは死んでしまいましたが、ぼくは生きています。
あの反物はぼくが着倒しますよ。
ぼくは、いい子じゃないけれど、それでも生きています。