写真を撮るのが好きだけど、写真を撮られることもある

2008年12月11日 22:11:23


大体いつもカメラを持ってうろうろしている。

稽古場であちこち盗撮したりしている。
劇団員には、「老後の楽しみなんだよ」と言っている。
赤いザクティ。そういえば、鈴木さんも同じカメラを買ったんだ。
鈴木さんのは白色。その鈴木さんのザクティは今は高橋あづささんのものになったよう。

いつもぱちぱち撮っている。
でも、こうして写真を撮られることもある。

これは、会場でメイクをしているところ。
描く事が好きみたい。一人ひとり違う顔。その違う顔に筆を入れていく。
一発勝負。やり直しのきかない一発本番。


写真家みきぼうずさんがこうして写真を撮る。

鈴木さんとのトークのため、本番前に資料を読む。
何の下準備もなく鈴木さんとトークができるはずがない。
劇団員に資料を揃えてもらった。それを吟味する。
どんな内容の話になるか分からないけれど、一定の基礎知識を詰め込む。


会場は、阿佐ヶ谷ロフト。AsagayaLoft/Aが正確な表記だ。

土日の2回公演。前日の真夜中に会場入り。
本番の準備を一つずつすすめ、お客様を迎える。睡眠をとる時間なんかない。
本も読まなければならない。考えることも多い。決めなきゃいけないことも多い。

準備の合間に一瞬こうして寝たりしている。


真夜中の準備。

照明部は機材を吊り込み、当たりをとっていく。
劇団員は、舞台の準備に、楽屋の準備。そして衣装などの準備に分担する。

高木はというと、そんなことにはあまり役に立たない。
「高木さーん、高木さーん」とよく呼ばれる。呼ばれたら、「はいはい」とそこにでかけていく。

とはいえ、仕事もある。パソコンを使って『音』の準備。
客入れの曲を編集。今回の客入れの音楽は、劇団員のリクエストによった。


時間があれば本を読む。

前日に鈴木さんからいただいた本を読む。三浦重周『国家の干城』
空き時間に読み進め、読み終えた。

写真に撮られることもある。「老後の楽しみなんだよ」と言う。
けれども、ぼくに老後はない。あるはずがない。
500年以上を平気のへいで生きてきた。
12月11日を生きられなくても、間違いなく5世紀は生きてきた。
正確に覚えては居ないけれども、15世紀くらいからの記憶は、ある。

谷崎潤一郎の『春琴抄』を読み直した。
「ああ」という「気付き」。これまでこの小説の何を読んできたのか。
たとえ12月11日を形而下できなくても。

三島由紀夫の『青の時代』を読み直した。
これまでとくに注意を払ったことのない三島作品。
なんということだ。12月11日。

写真に撮られることもある。「老後の楽しみなんだよ」と。
しかめっ面をして、遠い昔のこれらの写真を眺める時間。
ぼくに老後はないのだから、その時間があるはずがない。

本を読んだ。
何のための読書かを知りながら本を読んだ。
明日があればまた本を読んでいるかもしれない。

本を読んだ。
そして、今という老後にみきぼうずさんに撮られた写真を眺めた。

(写真撮影は、全てみきぼうずさん)