『天皇ごっこ〜調律の帝国〜』ぼくたちは望んでここにやってきた。ここは、ぼくたちの阿佐ヶ谷地下ロフト。あの自在のAsagayaLoft/A

2009年8月23日 10:14:58

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(撮影・平早勉)

この公演も最終日。
目の前では、準備が行われている。

磯崎いなほが、
鶴見直斗が、
あべあゆみが、
宮永あゆみが、
田中惠子が、
さとうまりこが、

まだ観客のいないホールでアップをする。
破廉恥極まりない舞台を疾走するための体を作り、
世界を語りつくす言葉を吐き出すために声を作る。

ころすけ(市川未来)が、
中田祐子が、
そして、いつも衣装でお世話になるクラモチユキコさんが、

お客様を迎えるための準備をし、
小道具を準備し、

ぼくは、煙草をくわえて、それを見る。

今日は、見沢さんの誕生日。4年前になくなったけれども、
50回目の誕生日。ここに見沢さんが、いる。
もう何年も前から今日という日に焦点を当てて動いてきた。
この日にあわせ、他の公演を組み、
この日にあわせ、資料を集め、
この日にあわせ、打ち合わせを重ね、

今日が、その日だ。

見沢さん、誕生日おめでとう。
遺影に呟いた。

生きることや死ぬことや、なんかそんなことを考えていた数年だった。
生きたくもない、死にたくもない、
どうでもいいや、そんなこと、

生きる、死ぬ、じゃなく、
居るか、居ないか、だ。

生きることや死ぬことをさも重大事のごとく語る輩にだまされるな。
そんなことは、どうでもいいんだ。

居るか、居ないか。

8月23日の真昼間、阿佐ヶ谷地下。
太陽の光はここには、入ってはこない。阿佐ヶ谷の空も見えない。
けれども、

この高々3mの天井には、ぼくたちの空があり、
そこには、太陽以上の光が在り、星以上の瞬きがある。

ぼくたちは、望んでここにやってきた。
ぼくたちの空は、ここだ。

ぼくたちは、ここに居る。