たくさんの本を読んできた。たくさんの時間を棄ててきた。

2010年9月29日 21:28:16

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時間を見て、蔵書の整理を始めた。
蔵書を管理するためのデータベースに一冊ずつ入力していく。

蔵書は段ボールで管理しているため
どこに何が入っているのかが、すぐに検索できればいいわけだ。

机のまわりに段ボールを積み上げ、一冊ずつ取り出し、入力をしていく。
一体何冊あるんだろう。気が遠くなるが、
これまでに読んできた本をこうして手に取り眺めるのも感慨深い。

一冊ずつぱらぱらと中身を確認する。
書き込みがあったり、線を引いてあったり、付箋が貼ってあったり。
それを確認するのもまた楽しい。

ただ、
入力をしながらそうして確認してしまうので時間がかかって仕方ない
自分で読んできた本だ。どうしても一冊ずつ見てしまう。仕方ないか。

時間ばかりがかかってしまう。
こんな作業は老後の楽しみにとっておいたほうがいいに決まってる。
わかっているけれども、必要に迫られて、迫られて、手をつけてしまった。

原稿を書いていたり、
演劇に対する着想があったり、
ふとした思いつきを確認しようと思ったり、

そうだ、あの本に、
確かあの本に、
あの著者じゃなかったかなあ、

と、本を思い浮かべる。この家のどこかにあるんだがなあ、と思うも、
何十とある段ボール箱から探し出すには体力も時間もいる。
そんなこんなでつい書店に走る。

時間的には新たに買ったほうが早い。家にあるのがわかっていても買ってしまう。
そんなことがここ一年続きに続いた。
蔵書管理がきちんとできていれば、そんなことはない。

と、わかっていても、時間も体力もなく、ついつい後回しにしてきた。
そうだ、以前、劇団員のころすけ君に入力をやってもらったんだ。
けれどもそのデータは、ある日もろくも崩壊した。
大量の本を舞台美術として使い、所定の段ボールに戻せずに、わけがわからなくなった。

そんなことがないようにしよう。
と、心に誓い、新たなデータベースに入力し始めた。
全部入力できれば、便利に利用できることだろう。

入力をしながら、ふと先日の合宿を思い出した。
稽古ってこんなに疲れるんだっけ、とあらためて思い知らされた。
でも、いくら疲れようが、考えていたかった。
思い描いていたかった。
完全な演劇を思い浮かべ続けたかった。
妥協のかけらもない完全な画を描きたいと思っていた。
妥協や折り合いなんてのは、世間知らずの若い奴らの特権だ。
そして、そのことに気が付かないのもそんな奴らの特権だ。

時間がない。
急げ。止まるな。立ち止まるな。
自分に言い聞かせ続けた合宿だった。

時間がない。
一冊ずつ本を眺めながら、一通の手紙を、書いた。